所長のコラム

解雇の金銭解決

「解雇の金銭解決」の法制化の検討がなかなか進まないという報道がありました。同報道によると、『議論停滞の理由のひとつは、「金を払えば労働者を自由に解雇できる制度」といった誤解…』とのこと。

厚生労働省の、「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」(令和4年4月)に、以下のような記述があります。「…実態としては、解雇が無効であると判断されたものの職場に復帰できないケースが3~ 4割程度存在するとの調査…もあり、そのようなケースも含め、労使当事者の合意により和解等が成立し た場合には解決金の支払による退職も行われているが、その金額にはばらつきがあり、…また、労使で和解協議が難航する場合等には、最終的に合意が成立するまでの時間的予見可能性も欠くことになるという問題もある。加えて、労使が合意に至らない場合もあり、そのような場合には、職場復帰を望まない労働者の無効な 解雇に関する紛争解決方法の選択肢は制約されることとなる。」(抜粋)

つまり、「金を払えば労働者を自由に解雇できる制度」ではなく、最終的に金銭解決になったときのために制度として整備しましょう。」ということで、しかも、そもそも制度の趣旨として、金銭解決を言い出せるのは労働者からのみとされているため、きちっと制度化した方がお互いに(労使共に)安心できるように思います。

 

TOP